Open post

何を売るお店なのか

8月が終わる。
「本屋と活版印刷所の屋根裏」が出来てからはや2ヶ月。
あっというまに一日が過ぎ、一週間が過ぎ、1ヶ月が過ぎ、2ケ月が過ぎ。

『中身の無い店』
これは店主がとある書類に書いたお店の内容です。
んなことあるか、と思う。
思うけど、わかる、とも思う。

今現在の「本屋と活版印刷所の屋根裏」では、古本、ジャンルによっては新刊本、
そして水出しアイスコーヒーとおかわりつきのホットコーヒーが売り物となります。

しかし古本屋というには本が少なすぎる。
アイスコーヒーもホットコーヒーもたくさんのお客様から安すぎると言われる。
でも…こだわっているわけではないから…(もちろん美味しくないコーヒーは出していない、つもり)
店主の作品は今せっせと作っています。

さて、
世の中は
ただ話す
ただ聴く
っていうことが少なくなってしまったと思っている。
ただ話す、ただ聴く、ってことが無駄だと思われているんじゃないかとさえ思う。
会話はスムーズな応酬、即座なレスポンス、そしてカタルシスが求められている。
んなことあるか、と思う。

それで、
ただ話す
ただ聴く
っていうことができる空間を、置いときたいと思った。

ただ話してもいいしただ聴いててもいいし
何か言ってもいいし言わなくてもいいし
それは店主や私がいつも話すとか聴くってわけじゃないし
それでもいいしそうじゃなくてもいいし
置いてある本を読んでもいいし読まなくてもいいし
コーヒー飲んでもいいし飲まなくてもいいし
でもギャラリーとして展示をしているときには是非観てほしいけれど。
それからイベントをするときにちょっと興味ひかれたら是非来てほしいけれど。
猫はいたりいなかったりする。

なにかの関係が出来るような空間。
人と人の関係や、人と場所との関係が出来るような空間。

何を売るお店なのかってことの答えにはなっていないような気がします。
もう少し考えてみます。

Open post

大橋範子×藤條虫丸 :天草×屋久島 ふたり表現「命」

2020年8月20日 19:30開演

のりちゃんに初めて会ったのはいつだったかな。のりちゃんは「だるま放牧豚」をパートナーと運営しながら、パフォーマンスアートもしている。映像を見せてもらったことはあったけど、まだ実際にパフォーマンスを見たことはなかった。
唐突にものごとの核心に触れるような話というのは誰とでもできるものじゃない。恋愛であれ政治であれアートであれ。のりちゃんはハンバーカーを食べながら気軽にそんな話が出来るような女性だと思っている。もちろんハンバーガーの話だけで終わることも出来る。
のりちゃんから連絡がきて、虫丸さんと「本屋と活版印刷所の屋根裏」でパフォーマンスのイベントをしたいと言われたとき、とても嬉しかったけど少し困ったな、とも思った。錦戸さんの写真展の開催が決まっていたから。

錦戸さんに相談。のりちゃんとも相談。写真展とは関連が無いことがお客様にわかるようにする。そして演者にも観客にも写真家にもお店としても、誰にも気を遣ってほしくないから、展示されている写真を(汚れないために)おおったほうがいいかもねという話をした。
私はどうしてものりちゃんのパフォーマンスが観たかった。

錦戸さんの写真展の搬入が終わってから写真のおおいかたを具体的に決めることにして、搬入の日。
錦戸さんの写真を見るとそこには「天草 塩の会」の故松本明生さんの写真。今回の写真展「当然」は、ある方々への錦戸さんなりの哀悼の意が込められていて、そのうちのひとりが松本さんだと言う。
そして、今回のイベント。
実は屋久島からいらっしゃる虫丸さんは、松本さんのお墓参りのために来島されたのだ。
せっかく来島されるなら、何かイベントをしませんか、とのりちゃんが誘ったのだそうだ。

錦戸さんも、のりちゃんも虫丸さんも、意識せず重なったこと。
私はびっくりしながら、パフォーマンスのいきさつを錦戸さんに伝えた。

「そういうことだったら」錦戸さんが言う。
「展示する写真はむしろ隠す必要はありませんね。」

わたしたちは「天草 塩の会」のお塩「小さな海」のことはもちろん知っていて使ったこともあって、
人づてに松本さんのお名前はよくお聞きしていたけれど、お会いしたことはなかった。
大変に勝手な解釈なんだけど、今回の錦戸さんの写真展とのりちゃんと虫丸さんのパフォーマンスイベントの重なり、
松本さんが呼んでくれたような気がした。

当日。
のりちゃんの犬の遠吠えのパフォーマンスも虫丸さんの舞踏もとても素晴らしかった。
声はまっすぐに喜怒哀楽を連れてくる。
言葉で語りつくそうとする必要はない。
身体もまっすぐに喜怒哀楽を連れてくる。
いつまでも見ていたかった。
虫丸さんは最後に錦戸さん撮影の松本さんの写真にお辞儀をされていた。
パフォーマンスが終わったあとも、ずっとお店に残ってくれたお客様たちがいらした。

夏の、濃密な時間。

藤條虫丸 fujieda mushimaru
ダンサー・振付家・演出家。日本を代表するダンサーの一人としてソロ活動の他、演出・製作・振付・ワークショップ等内外で活躍。旅と芸をないまぜに、天と地、生と死、時空間そのものを自らの舞台とするダンススタイルは「天然肉体詩」という独自の世界を作 り上げ老男若女を間わない幅広い層の人々に鮮烈な 印象と根源的な感動を与えている。
異分野・ 海外アーティストとの交流・共演も数多く世界中にファンや支援者を持つ。
「生きとし生けるすべてのものに、慈しみを感じながら、全身全霊をかけて謳いあげる生命賛歌」を永遠のテーマに、ゆるやかに旅する天然肉体詩人。その旅はいつもあらゆる人・もの・風景を巻き込みながら一瞬の風のように吹き抜け、あざやかな美しい風紋だけを後に残して消えてゆく。
2004年より屋久島に移住、半農半芸のライフスタイルを通して、日々繰り返される天然自然の営為をみつめつつ心身に心地よい遊び暮らし=アートライフを模索中。

大橋範子 ohashi noriko
アーティスト
1974年・大阪生まれ。
京都精華大学造形学科陶芸分野卒業。2001年よりNIPAF(ニパフ)(日本国際パフォーマンスアートフェスティバル)を中心にパフォーマンスを始める。その後NIPAFでの国内、海外ツアーに参加。2005年より、関西を中心に作品の発表を開始。パフォーマンス、インスタレーション(既製品やオリジナルな物の配置によって空間自体を作品化する事)、映像、彫刻、絵画など、様々な方法と行為による芸術を試みる。2011年、天草在郷美術館(アーティスト加藤笑平が天草市佐伊津で運営していたギャラリー)での個展のため天草を訪問。延べ1ヶ月の滞在制作で天草の大樹を使った木彫を制作、展覧会を行う。2013年天草で知り合ったパートナーとの結婚を機に天草に移住。パートナーの営む「だるま放牧豚」を手伝いながら、豚たち、牛たち、犬たち、たくさんの動物やあらゆる生命体に囲まれながら、山の中での生活を実践中。

大橋範子さんのコメント
————————————————
虫丸さんがM氏の弔いに屋久島から天草に来られると聞きつけ急遽企画したこの一夜。
虫丸さんの大きくて暖かなwelcome握手で迎えられた屋久島フェリー乗り場は何年前のことか。。。
随分たったけど、虫丸さんの吸って吐いての呼吸法は私の身体にしっかり残ってる。
突然の提案にも快諾して頂き、私としてはご一緒できて嬉しい限り。
皆様、どうぞどうぞ久しぶりの天草での虫丸さん、そして私も久しぶり、是非お越し下さい!
————————————————

Open post

「当然」錦戸俊康写真展

「当然」錦戸俊康写真展
2020年8月19日~8月26日

「変わらぬ日々がやって来ることなどない。思いもよらぬ出来事の連続に振り動かされ続けることこそが、私の当然なのだろうと日々思い知らされている。その揺れに抗うことなく反応していけたらどんなによいだろうか。そんなことをただ考えている。」(「当然」より)

この「当然」の期間に展示された写真を、一枚も、撮っていないんです。
お店としてはだめなことだと思いますが、記録として残しておこうという気持ちになれなかった、
それくらい生を強烈に点滅させて刻み込まれた写真展でした。
搬入時、とある写真があらわれたときに錦戸さんと話したこと、
今年のお盆を過ぎた時期だったということ、
精霊船の写真のあかあかとした光はたびたびはっきりと思い出す写真になりました。
わたしは”運命”とか”必然”という言葉はどう使ったらいいかわからずにいて
なるべく使わないようにしています。
それでもそんな言葉を考えてしまう写真展でした。

たまたま重なって開催されたパフォーマンスについて
大橋範子×藤條虫丸 :天草×屋久島 ふたり表現「命」

愛のあるなしに関わらず、
人も場所もいつか消えていくものではあるでしょう。
ひとりの力で救えないことはたくさんあります。
けれど、「わたしはどう生きたくないのか」を考え続けることで
当然、継いでいけるものがあると考えています。

※錦戸俊康さんのnote
写真展「当然」を終えて

Scroll to top